意外と身近な「不眠」
コラム著者:長坂祐希

みなさんは、ぐっすり眠れていますか?
2019年の国民健康・栄養調査では、「睡眠の質に満足できなかった」と回答した人が21.8%、「日中に眠気を感じた」と回答した人が34.8%という結果が出ています[1]。不眠は最も身近な症状の一つと言えるのではないでしょうか(これを書いている私も不眠に悩まされております)。
不眠には4つのパターンがある
不眠=眠れないということですが、実はこの「眠れない」には4つのパターンがあります[2]。
- 入眠障害:寝つきが悪く、眠るまでに時間がかかる。
- 中途覚醒:夜中に何度も目が覚める。
- 早朝覚醒:起きる予定の時間より早く目覚めて、その後再び眠ることができない。
- 熟眠障害:睡眠時間は取れているものの、眠りが浅く、熟睡した感じがしない。
これらは、不眠でみられる代表的な症状です。
どのパターンかによって治療法が異なることがありますが、このコラムは医療者向けではないので割愛します。
不眠の原因を探ろう
さて、不眠にはさまざまな原因があります。治療が必要な病気から生活習慣によるものまで、さまざまなものが考えられます。
例としては、以下のものが挙げられます[2]。
- 身体の病気が隠れている:泌尿器の病気による頻尿、心臓や肺の病気による息苦しさ、いびきや睡眠時無呼吸などによって眠りが妨げられる場合があります。
- 精神疾患が隠れている:うつ病などが不眠の原因となることがあります。
- 薬や嗜好品が影響している:カフェインやアルコール、薬の副作用などが睡眠に影響することがあります。
- 眠るための環境が整っていない:騒音がある、仕事などで眠る時間が不規則になっている、など。
- 心理的な原因がある:ストレスや不安があって眠れない、など。
④や⑤であれば生活環境や生活習慣の調整で不眠が改善することもあります。一方、①②③の場合は、原因となっている病気や薬などへの対応が必要になることがあります。
不眠が続く場合は、一度医療機関に相談することが大切です。
不眠への対処法
では、身体や心の病気など、ほかに不眠の原因となるものが見つからなかった場合、どうすればよいのでしょうか?
「不眠=すぐに睡眠薬」と考えるのではなく、まず睡眠に関係する生活習慣や環境を見直すことも大切です。今回は、そのポイントの一部をご紹介します[3]。
- 嗜好品:カフェイン・アルコール・ニコチンは睡眠に影響することがあります。特にアルコールは一時的に寝つきをよくすることがありますが、睡眠の質を低下させ、結果として不眠の原因となることがあります。寝酒はおすすめできません。
- 光:光は覚醒や体内時計に影響します。眠るときは暗い環境を整えましょう。寝る前のスマートフォンやタブレットの使用も睡眠に影響することがあるため、控えめにしましょう。一方、朝に自然光を浴びることは体内時計を整えるのに役立ちます。起きたら窓からの光を浴びるようにしましょう。
- 環境:騒音は睡眠を妨げます。また、寒すぎたり暑すぎたりする環境も睡眠の妨げになることがあります。温度だけでなく湿度にも注意し、自分が快適に眠れる環境を整えましょう。
- 寝具:布団が硬すぎる・柔らかすぎる、枕が高すぎる・低すぎるといったことも、快適な睡眠を妨げる場合があります。寝返りがしやすく、自分に合った布団や枕を選びましょう。
- 睡眠スケジュール:必要な睡眠時間には個人差があり、年齢によっても変化します。長く寝床にいればいるほどよいというわけではありません。自分に合った睡眠時間や生活リズムを見つけることが大切です。
また、昼寝をする場合は長くなりすぎないよう注意しましょう。いわゆる「寝だめ」だけで、日頃の睡眠不足を十分に解消することは難しいとされています。
- 運動:適度な身体活動は睡眠の質を高めることが期待できます。必ずしもランニングなどの「運動」である必要はなく、通勤や家事などで体を動かすことも身体活動に含まれます。無理のない範囲で、日頃から体を動かすことを心がけましょう。
まとめ
長くなってしまいましたが、覚えておいていただきたいのは以下の3点です。
- 不眠は身近な症状です!
- 不眠にはさまざまな原因があり、病気が隠れていることもあります。不眠が続く場合は、お気軽に医療機関へご相談ください。
- 生活環境や生活習慣を整えることで、不眠が改善することもあります。睡眠を妨げる環境や行動を見直してみましょう!
睡眠を整えて、日中をすっきりと過ごせるようにしていきましょう!
参考文献:
[1]令和元年国民健康・栄養調査報告
[2]『ジェネラリストのための内科外来マニュアル 第2版』金城光代・金城紀与史・岸田直樹 編:358−367
[3]『睡眠医療ネクサス』Vol. 1 No. 3(12月号)2025:85−96