コラム著者:澤田奈実
麻疹(はしか)は麻疹ウイルスによる感染症です。「昔の病気」と思われがちですが、日本では2025年に265例が報告され、2026年も各地で報告が続いています。※1
潜伏期間は10〜12日。最初は発熱・鼻水・咳など風邪によく似た症状で始まります(実はこの時期がもっとも周囲にうつしやすい)。その後、口の中に「コプリック斑」という白い斑点が現れ、続いて全身に赤い発疹が広がります。高熱が7〜10日続き、完全回復まで約1か月。お子さんは熱が下がって3日経つまで登園・登校不可です。
実際の症状写真を見たい方はこちら(厚生労働省)
| 合併症 | 頻度・特徴 |
|---|---|
| 肺炎 | 最多の合併症。乳幼児の死亡例の6割は肺炎。 |
| 脳炎 | 1,000例に1例。後遺症25%、致死率15%。 |
| 中耳炎 | 5〜15%に発生。 |
| SSPE | 10万例に1例。数年後に発症する難病。治療法なし。 |
約30%に何らかの合併症が生じます。先進国でも1,000人に1人が亡くなるとされ、インフルエンザの約10倍の致死率です。※3
麻疹には特効薬がなく、対症療法が中心。ワクチンによる予防がすべてです。
定期接種で1歳と小学校入学前の計2回(MRワクチン)。
2回で97〜99%の免疫。
特に1965年〜1990年4月生まれは要注意(1回接種 or 未接種の世代)。
接種歴不明でも追加接種OK。海外渡航予定の方は行き先を問わず確認を。
妊娠中・免疫不全・生後6か月未満は接種不可。
周囲の方の接種が大切です。
まず、落ち着いてください
発熱と発疹が出て「もしかして麻疹?」と不安になるかもしれません。発熱+発疹の原因は麻疹以外にもたくさんあります。焦る必要はありませんが、念のため以下の手順で受診してください。
麻疹にはインフルエンザのような迅速検査キットはありません。
医師が症状の経過(発熱・咳・鼻水 → コプリック斑 → 発疹)や診察所見から総合的に判断します。
麻疹が疑われた場合、医療機関から保健所へ届出を行います。その後の検査や対応は保健所の判断・指示のもとで進められます。確定診断にはPCR検査等が必要で、保健所を通じて専門の検査機関に検体を提出します。検査が実施される場合、結果が出るまで数日かかることがあります。
すべて医療機関と保健所が連携して対応します
患者さんが自分で検査を手配する必要はありません。指示に従っていただければ大丈夫です。ご不明点はお気軽に当院へお電話ください。
接種歴の確認やワクチン接種のご相談は当院でも承っております。お気軽にお声がけください。
出典・参考資料
国立健康危機管理研究機構(JIHS)麻疹発生動向調査 / WHO Measles Fact Sheet / CDC Clinical Overview of Measles /
厚生労働省「麻疹対応ガイドライン 第七版」/ 世田谷区「麻しん(はしか)」/ 佐久医師会「教えて!ドクター」(2024年3月改訂)