コラム著者:桐谷 知美
こんにちは。家庭医の桐谷です。
今日は、健診でお会いするお母様から相談されることの多い離乳食のお話をしようと思います。
そんなことありませんか?
手間ひまをかけて作ったごはんをイヤイヤされたり、吐き出されたら辛いですよね。でも、誰しもそういう時期があります。
味覚には甘味、旨味、酸味、塩味、苦味の5つがあり、甘味・旨味のある食べ物は子供も好む傾向があります。一方で残りの3味に関しては、毒や腐った食べ物など体に害を及ぼすものを連想させ、未知のものに対する防衛反応として苦手とする傾向があります。しかしそういった食べ物も、繰り返し食べていくうちに慣れてくるものです。以下に離乳食をあげる際のポイントを挙げてみました。
①甘味のある食材からあげる
②苦手な食材も、諦めずに試す
初めは母乳・ミルク以外のものを口にする練習ですので、子供が好む甘味のあるもの(さつまいも、かぼちゃ、人参など)から試すのがオススメです。苦手なものも、完全に食卓から除いてしまっては色々な食材に触れる機会を失わせ、将来の偏食の原因になりかねません。何度も繰り返し口にして「食べても大丈夫なんだ(毒じゃない)」と思わせることが出来れば苦手な食材を克服できるとも言われています。単独では酸味や苦味が目立つ食材も、長時間加熱したり他の食材に混ぜ込んだりすることで味が丸くなり食べられることが多いですので、諦めずに試してみて下さい。
③とろみをつける
④食材の固さや大きさ・一口量を見直す
離乳食初期は舌触りの良いものしか受け付けない子が多いですが、そのあとはとろみが好きな子・少し歯応えのあるものが好きな子・汁物が好きな子…と徐々に個人差が出てきます。むせ込みがないか・咀嚼時間が長すぎないか・メニューごとの食べるスピード等をよく観察して好みを探ってみましょう。おかゆやおかずに、出汁で作ったあんかけを絡めるのもオススメです。◯ヶ月はこの固さ、△ヶ月から□回食…というのはあくまで目安ですので、お子さんのペースで進めてあげて下さい。身長体重がしっかり伸びていれば、離乳食の遅れに神経質になる必要はありません。(6〜7ヶ月、9〜10ヶ月健診を是非とも受けにきて下さい!)
⑤無理強いしない
⑥家族で食卓を囲んで「食事=楽しい時間」という雰囲気を作る
何としても食べさせよう、という親の気迫や焦りは子供にも伝わります。嫌がるようなら無理強いせず一旦撤退しましょう。はじめての食材はアレルギー反応が出る恐れがあるので病院が開いている平日の午前中に食べさせるのが望ましいですが、慣れた食材に関しては午前に拒否されたら午後〜など子供の気が向いたタイミングで再トライするのも良いかと思います。
⑦市販の離乳食を使う
手作りが一番!と思われる方もいらっしゃるでしょうが、市販品も月齢に合わせた食材・とろみ・塩分・カロリーが計算し尽くされた優秀な離乳食が沢山あります。添加物に関しては厚生労働省の規定があるほか、日本ベビーフード協議会に参加した企業の商品では更に少なく、安全性に配慮した必要最低限のものになっています。家事の時短につながるのはもちろん、食形態や味付けなど、家庭で離乳食を作る時に活かせる新たな発見があるかもしれません。
⑧その他
成長とともに鉄分や亜鉛など血を作る材料となる栄養素が足りなくなり、乳児貧血をおこす子が稀にいます。離乳食が必要となる生後6ヶ月頃〜は母乳やミルクだけでは必要なエネルギーや栄養素がまかなえなくなります。月齢に合わせて、肉・赤身魚・豆腐・ほうれん草などを積極的に離乳食に取り入れましょう。
一番大切なのは、パパママがストレスを溜めないことです。子供のことを想うが故にではあっても、「〜しなくてはいけない」「〜したら子供が可哀想」といった思いに囚われすぎると、子育てが辛いものになってしまうかもしれません。子供のハッピーのために、まずはパパママからハッピーになりましょう!クリニックでもそのお手伝いをさせて頂ければと思いますので、お悩みのことがありましたら気軽にご相談下さい。